自然にバクン、バクン・・・そんな風に心臓が暴れだす。
私はもうここ3日はしゃべってないのだ。
私が、何かしたのかな・・・。
もしかしたら仕事で・・・?
でも毎日楽しそうだもんな・・・。
やっぱり私なのかな・・・。
無意識に羽美を傷つけてたなら、本当に私は正真正銘のバカだ。
無意識に、傷つけた・・・。
私が気付かないうちに・・・。
私の言動で・・・?
私は頭を捻りに捻る。
私は羽美を見た。
思い当たる節が見つからない・・・。
私は息を吸った。
そして言葉を口から出す。
「・・・羽美、何でそんな落ち込んでるの・・・?」
私は意を決して尋ねた。
これは賭けだ。
羽美が怒ってしまうか、喋ってくれるか、はたまた誤魔化されるか・・・。
多分その三つだ。
するとびくっとしたように羽美は顔を上げた。
「え、い・・・え?あ?」
羽美はわたわたし始めた。
そして私にも見えるくらい明らかに喉が動いた。
「な、何もないよ・・・。」
羽美はすぐに私から視線を逸らした。
ズキン、私の胸が疼き声を上げた。
誤魔化された・・・。
1番欲しくなかった返しだ。
「・・・んなの嘘。」
私は無意識にボソリと呟いた。
「・・・え?」
羽美は不安そうな表情で私を見てすぐに逸らす。
またズキンと痛む心。
痛い、何これ、痛い。
私、信頼されてない・・・?
何でも言い合える仲じゃなかったんだ・・・。
そう思ってたのは私だけ・・・か。
私は俯いた。
目をギュッと閉じて唇を噛み締める。
・・・いや、そうでもないのかな・・・?
私も羽美に言ってないこと、たくさんある。
旬のキスのこととか、
修のこと、とか・・・。
・・・あ。
私は固まった。
も、もしかして。
羽美は私と修との間にあった出来事を知っているのかもしれない。
それならつじつまがあう。
急に喋ってくれなくなった時期も一致する。
話を聞いたのだとしたら修・・・、だから修と何かあって修とだけは喋れてるのかもしれない。
私はすぐに口を開いた。
「修から話、聞いた?」
私は虫が鳴くかのような小さな声で尋ねた。
私はドキドキしながら返答を待つ。
羽美は私の顔を見つめて来る。
大きな瞳が目の中を泳いでいる。
心臓が吐き出てしまいそうなくらいの心臓の伸縮。


