私はお昼の時間を要路と共に過ごしていた。
羽美の席をとって一人で待っていたらそこに要路が来たから。
まあいくら待っていても羽美は来なかったからいっかー、と私は要路に席を譲り渡した。
「皆いないんだな。」
「うん・・・」
「何かあったのかい?
あ・・・、郁斗のこととかかな・・・?」
要路は首を傾げて私を覗き込む。
・・・あ。
郁斗のこととか忘れてた。
正直、旬や修との事の方が記憶に新しい感じがした。
郁斗との事は完全に上書き保存済みだった。
けど、
「まぁ、そんなとこ。」
私は呆れたような表情をつくってプチトマトをぱくり。
甘酸っぱ・・・。
それからは要路と三日目の自由行動について話を進めた。
それと今日の午後の事をお互いに教え合ったり。
そうこうしている内にお昼は完食。
ああ、自分、こんなに心は傷ついているのにご飯は食べれるのね・・・。
自分ののんきさに少しうなだれた。
そして要路とわかれ、モデル科はモデル科の集合場所に集まった。
すると見覚えのある金髪が目の先をちらついた。
「あ、羽美!」
私はその肩を引き止めた。
いつものように、けだるげに首をゆるりとまわす。
「もー、お昼の時間どこ行ってたの?
なにげに心配してたよ?」
私はそう言ったが羽美は顔を曇らせている。
正確に言うと、私の顔をみた瞬間に顔が曇った。
「・・・え、ああ。ごめんねー?」
羽美は笑みを浮かべる。
いつもの調子か、
と思ったけど、なんだか笑顔が苦しそう。
何か、暗い?
体調悪いのかな・・・。
「だいじょ・・・「はい、モデル科の皆さん移動よ。
後に続いてついてきてー。」
大丈夫?私がそう声をかけようとした時、
先生が私の言葉を遮った。
ああ、なんて私達はキビキビ歩きだす。
会話はそこで途切れた。


