私が修を好きだと言って気を遣っていたとしたら?
ドク、そんな風に心臓が大きく伸縮した。
でも、美里は旬が好きって言ってるし・・・。
もし、それも演技だったら・・・?
ううん、美里はそんな器用なヤツじゃ・・・。
いや、美里は器用か・・・。
どうしよう、どうしよう・・・!
悪い事しか考えつかない。
どうすればいい、どうすればいい・・・!?
美里を信じてる、だから大丈夫。
大丈夫、大丈夫。
疑いたくない。
でも・・・。
あぁ、“でも"とか言いたくないよ・・・。
「はー・・・
好きって、つれぇのな・・・」
修はぼんやりとその言葉を宙に浮かべた。
その言葉がフワフワ飛んでいくようで・・・。
修が、どれだけ美里を好きだったか。
よく分かる。
修、辛いんだよね。
苦しいんだよね。
私は涙が目に浮かんできた。
「無理して笑わないでいいよ。」
私は天井ばかり見ている修にそう言った。
「え?」
修は何が言いたいのかわからない、といった表情を浮かべて言う。
「苦しいなら、笑わなくていい。
修は無理してる。
頑張ってる。
弱み、隠さなくてもいいんじゃないのー・・・?
それとも私じゃ頼りないのかなー・・・。」
私は俯いた。
自分、何言ってんだろ。
んー、何言ったかすぐに忘れた。
感情に任せて言葉を吐いたから。
修は唇を噛んだ。
するとまた天井を見上げる。
私には修の喉しか見えない。
「あー、辛い、辛い・・・!
なんでだよ・・・!
あー、やだやだ!」
修は涙ぐんだ声で言った。
声が震えている。
ズキン、また胸が裂かれる。
すると急に私を見る。
「羽美ー、急にまともなこと言うなよなー、
まじ焦ったわ。」
「えへ」
「羽美さん羽美さん、
忘れ方、教えてくんない?
苦し過ぎて飯も食えねぇわ」
修の目には大量の水滴。
今にも零れ落ちそうだった。
その姿を見て、ズキン、また胸が裂かれる感覚。


