そして一筋の水滴が私の頬を撫でた。
それがきっかけになったのか私の瞳から溢れる水滴はとどまることをしらなかった。
涙がとまらなかった。
拭っても拭っても涙はでてきた。
いつの間にか私の服の袖はビショビショだった。
苦しいよ・・・。
辛いよ・・・。
痛いよ・・・。
切ないよ・・・。
・・・心が、擦り切れそう。
こんなに泣くなんて私らしくない。
私、こんなに泣くくらい旬の事が好きだ。
頭はグチャグチャでも心は答えをだしていた。
心の気持ちを、泣くっていう動作に勝手につないでた。
苦しい、苦しい・・・。
ただ私が期待してただけで。
じゃあ・・・なんでキスなんてするの・・・?
あんな優しい・・・キス。
とろけちゃうんじゃないか、ていうキス。
それも二回も。
気持ちなんてないんだよね・・・?
それが辛いよ・・・。
息が出来ないよ・・・。
何で、“俺だけ見てろ"とか言うの・・・?
ただ私の反応を面白がってただけ?
ドキドキ、心臓が壊れるんじゃないかと思ったのは私だけ・・・?
“お前のこと"が何よ・・・!?
・・・旬の気持ちが知りたい。
嫌いなら嫌い、そういう風に言ってもらわなきゃ諦めつかないよ。
弄んでるだけ・・・?
旬、旬、旬・・・。
好き・・・大好き。
溢れそうだよ。
心のダムにせき止められないよ・・・。
私はその時、自分に近付く影に気付いていなかった。
頭がいっぱいいっぱいで。
キュッキュッと鳴り響くフロアとスニーカーが擦れる音にも気づかなかった。
そして私に完全に影がかかった。
私はギュッと閉じていた視界に光が入らなくなったことを不思議に感じた。
まだ涙はとまっていないけど。
なに・・・?
誰・・・?
私は自分の膝に埋めていた顔を上げようとした。
その時だ。
「・・・美里・・・?」
そう、聞き慣れた声が私の耳をすり抜けた。


