涙、零れちゃう。
ダメ、泣くな、泣くな、泣くな・・・!
私は唇を噛み締めた。
私は意を決して顔を上げた。
「も、もーっ。
さっきの事本当に忘れて?」
私はニッコリモデルスマイルを向けた。
自分、強い子。
泣きたいのに、泣かない。
うん、泣かないで自分。
「えー、じゃあ最後。
美里さんは谷崎郁斗のことどー想ってんの?」
不満たっぷりの表情を浮かべてムス、と言うさっきの男。
そんなの、聞かないでよ。
なんで人の恋路に首突っ込んでくるのよ・・・!
私はまた唇を噛み締める。
血が出るんじゃないかというくらいに。
「それについてはノーコメントで。
はい、この話はおしまいねっ。」
私はまた笑顔を向けた。
そしてクルリと旬達に背を向ける。
ああ、もう旬に泣き顔見せなくて済むだろうな。
そう安堵したら目頭が熱くなってきた。
泣き出す10秒前。
「あー、そろそろ戻らない・・・っとねー」
ヤバい、声震えた。
堪えろ、まだ堪えろ私・・・。
私は角を曲がる。
その瞬間走り出す。
ああ、もう泣いていいかな。
ううん、ダメ。
一人になれる所じゃなきゃ、
泣いちゃダメ。
私は走った。
ここが何処かなんて分からない。
だけどとにかく階段を駆け上がった。
一目につかない場所を求めて。
「はぁ・・・、はぁ・・・」
私は知らぬ間に最上階まで来ていた。
私は肩で荒く息をする。
苦しい、苦しい、息が出来ない。
走ったから?
ううん、そんなことじゃない。
旬の冷たい言葉に胸をえぐられてるからだ。
まるでゆるくまわる毒みたいに私の心を蝕んでいく。
「・・・も、無理・・・」
私は一人呟いて壁を背にしてズルズル座り込んだ。


