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数十分程度経つと、鏡にはさっきとは違う自分の姿があった。
下ろしていた黒髪が巻かれ、それがお団子になっている。
風船みたいにフワフワしてて、すごく可愛い。
それに青い花が飾られている。
メイクは瞼にキラキラのラメがのせられ、薄い青色が海みたく輝く。
リップはベビーピンクでこちらも光沢があって綺麗。
ネイルはネイビーに近い青とゴールドに近いピンクを交互に塗り、
パールのようなパーツがゴテゴテし過ぎず、
絶妙につけられている。
小指には修が私の髪につけたものと似ている花がつけられている。
よくこんな短時間で完成させるなぁ・・・。
こんな綺麗に・・・。
私は自分の髪に触れてみた。
自分じゃないみたい。
口角が勝手に釣り上がる。
そんな私を見て郁斗達は笑っている。
何か、気分が軽い。
この格好を皆に見せたい。
出掛けたい。
一瞬で、外見も内面も変えるって、すごい。
「旬は?」
修は振り向き旬に問う。
私も木崎旬に視線を送る。
そこには満足そうに笑う木崎旬の姿。
「おぉっ?その顔は・・・?」
郁斗がからかうみたいに旬の頬をつつく。
そんな郁斗の手をうざがるように避けて、
スケッチブックをどんと突き出した。
私はそれを見た瞬間に息を呑んだ。
一瞬言葉が詰まった。
声帯が一瞬奪われたみたいに、何も喋れなくなって。
そして数秒すると自然に口が開けた。
「綺麗・・・」
そう、
無意識にポロリと言葉が零れる程に、
彼のデザインした服は綺麗で、
素敵で、
美しくて・・・。
青色のワンピース。
前の丈は膝上くらいまで短く、後ろは足首くらいまである。
胸下には皆と同じ、あの花のベルトがあって・・・、
いい。これ、すごく好き。
普段、真っ青なんて着ないんだけど。
だからこんなにも惹かれるのかな。
着てみたい。
この人達がが作ったものでランウェイを歩きたい。
このチームに、入りたい。
「入れてください、このチームに。」
そう思った瞬間には口が動いていた。
あ、言っちゃった。
でもいいよね。
私は4人の顔を交互に見ていく。
木崎旬の顔を、しっかり見る。
彼の引き込む力に負けないように私も真剣に彼を見つめる。
すると彼は口元を緩ませ、口を開く。
「当たり前だ。
お前を俺達のモデルにしない気はねぇよ。」
彼は緩ませていた口元をさらに緩ませ、
口角をくいっとつり上げた。


