服飾科の皆さんであろうか。
私は旬だけが釘付けになった。
でも旬はそっぽを向いて私と向き合う気なんてサラサラなさそうだ。
・・・そりゃそうだ。
だって・・・、あれはただ単に目の前でキスをされるのに不快な気持ちを感じたから・・・、
だから助けてくれたんだ。
ただ郁斗が自分の気持ちをカミングアウトしただけだし。
きっと旬にとってはどうでもいいことなんだ。
私にとって重大なニュースでも旬にとっては日常に過ぎないことなんだ。
・・・ああ、自分で言っといてなんでこんなに胸が苦しいんだろう。
馬鹿、馬鹿、馬鹿。
期待した自分が恥ずかしい。
もう消えちゃいたい。
旬の前から消えちゃいたい。
少し涙腺が緩んだ。
私は俯いたままだった。
その時だ。
「なぁなぁ旬。
結果お前は美里さんどーなんだよ。」
いきなり男子生徒が旬に話をふった。
・・・はぃ?
私はその空気を読めない言動に対して唖然とした。
そして即刻顔を上げた。
なんで、そんな質問するの。
こんな時に限って・・・!
私、旬に何か言われたらもう立ち直れない。
堪えて、堪えて、必死で零さないようにしてる水滴が落ちちゃうよ。
私は発言をした男を睨んだ。
そして旬を見つめた。
「え?俺かよ。」
旬はよくわからない所に向けていた視線を発言をした男に向けた。
「おう。」
私の睨みが気付いていなかったのか白い歯を見せる男。
何が、おう、だよ・・・!
私の心が汗でにじんでいく。
どんどん心臓の音が加速する。
怖い、旬の言葉を聞きたくない。
そして旬は眠そうな声で言った。
「んー?別に?」
冷淡な口調で、そう言った。
旬の目線はさっきの男。
私はその一言がとどめの一撃だった。
“別に"
・・・ズキン。
そんな風に胸に鋭利な刃物を突き付けられたような感覚。
・・・痛い、痛すぎる。
痛いよぉ・・・。
つまり、旬は私がどうでもいいんだ。
郁斗の発言もどうでもいいんだ。
私には、無関心なんだ・・・。
自分の目線が勝手に下に下がっていくのがわかった。


