鏡には私の姿が映る。
黒髪で、胸下のロングヘアー。
化粧はしない。
そしてデジャヴュかっ、
とツッコミたくなるくらいに、修はまた私の髪をさわさわ触る。
くすぐったい・・・。
私は肩を竦めた。
「やっぱりコレだぜ・・・!」
後ろで修の声がする。
何かとんでもない事が起こりそうな、そんな気がする。
私の気持ちは表情にも出ていて、鏡には私の眉を寄せた顔。
・・・ダメだ。
モデルは笑わなきゃ。
私は無理矢理口角をあげた。
すると急に誰かの手が私の手を引いた。
「?」
声は出なくとも、
なんだ、
と疑問が浮かび、私の手をつかむ手の人物の姿を目で追う。
要路だ。
要路は目を見開かせている。
・・・もしかして爪の手入れやばかったかな。
冷や汗がでてくる暑さを感じた。
私は要路の言葉を要路の姿を見てずっと待つ。
そしてはあっと息を吐き出す要路。
・・・ため息?
私に不安が押し寄せる。ドキドキ心臓が叩かれてるような、危機迫るような。
「・・・なんて美しい爪なんだ・・・!
素晴らしい!」
私がドキドキとしている中で要路は私の爪を食い入るように見てそう言った。
その言葉を聞いてほっと胸を撫で下ろす。
「ほんと、美里ちゃんってメイクしないでこの顔って・・・
可愛すぎでしょ。
いやキレイ系じゃね?」
そう郁斗が言う言葉が聞こえたかと思えば、
くいっと顔を捕まれ、顔の向きを変えられる。
その瞬間に郁斗の顔がドアップで私の瞳に映し出される。
わあ・・・。
・・・すごい。
いや、この状況が。
後ろからは髪を触られ、
左横からは手をとられ、
右横からは顔を向かされ・・・。
「髪、いじってもいいか?」
私が自分の今の状況をまるで他人事のようにに見ていると、
修は鏡越しに私の目を見た。
瞳は好奇心に溢れた子供のようで。
「構わないよ。」
私はそう言って頷いた。
すると修は歯を見せて笑い、
髪やら櫛やら霧吹きやらがのっている台車のようなものを持ってきた。
すると要路も、郁斗もネイルをしたりメイクをしたりを始めた。
私は修には許可を下ろしたけど・・・、
そう心の片隅で思う。
けど、要路も郁斗も・・・
それにさっきから座って紙に向かう木崎旬も・・・、
修と同じ瞳・・・、
新しいものを見つけたような、
希望を見つけたような、
それしか見えてないような、
そんな瞳。
すごく、楽しそう・・・。
いいな、こんな瞳。
4人に期待している自分がいる。


