考えにくい。


 速水も越沼もそれぞれの班の捜査員を引き連れ、現場をもう一度検証していた。


「この高さから落とされたとなると、害者が即死することはほぼ間違いありません」


「まだ、落とされたって決まったわけじゃないだろ?自分から落ちた、つまり自殺した可能性だってある。安易に決め付けるな。もちろん自殺自体ホシが仕組んだ偽装自殺だったとも考えられるが」


「そうですね。私も考え違いしないようにします」


「ああ。冷静になってくれ。こんな曇り空だと、気も晴れないがな」


 越沼は空を見上げた。


 どんよりした天気が続いている。


 一向に晴れない。


 検証が済んだ結果、屋上階には目立った物証は残っておらず、速水も越沼も諦めてそれぞれの班の捜査員を連れ、西新宿署の帳場へと戻った。


 曇った空が捜査を妨害するように鬱陶しい。