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 お盆明けで、桜田門に詰める警官たちも普通に仕事をし始めた。


 それぞれの部署に付いて、である。


 一課と組対四課、それに俺たち組対五課が河村組と大塚会の二つの事務所にガサ入れしたことで、悪い連中は残らず処分され、一安心だった。


 長谷川元警部補の転落死を追い続けていた速水や越沼たち一課の刑事は曲がりなりにも事件が解決したことで、西新宿署に立っていた帳場にいったん戻る。


 速水たちは北山院が率いていた特別捜査部隊とは別行動を取っていたのだが、事件に関わっていた人間たちが処分されたことを受け、幾分気を抜いていた。


「やはり長谷川元警部補は自殺に見せかけた他殺だったんですね?」


 速水がそう言うと、越沼が、


「ああ。長谷川さんをビルから突き落とした人間は、大塚会の北川と、河村組組長の愛人の篠原だ。両人とも死亡してるから、これ以上のお咎めはないけどな」


 と返した。


「何か我々捜査一課の人間たちがほとんど関わることなく、事件が終わりましたね」