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「失礼します」


 上下ともスーツを着こなした東京高検の検事二名が大口のいる病室へと入ってきた。


「おいおい、ここは病人のいる部屋だぞ。関係ないヤツが入ってこなくてもいいじゃないか?」


「関係があるから来てるんです」


「何が、だ?」


 真っ先に入ってきた東京高検検事の鈴木が大口相手に正々堂々と応酬する。


 鈴木の後ろにいたのが副検事の堂本だった。


「大口検事、だいぶお具合はよろしいようで?……もしかして仮病ですか?」


「何言い出すかと思ったらそんなことか?俺は腎臓が悪いんだ。持病でな。以前から検査入院したこともたびたびある。今回も入院中なんだよ」


「あなたは入院されてる間に、そちらにあるノートパソコンを使って指令を出されましたね?いろんな人間や団体へと」


 鈴木が大口のベッドの脇に置いてあった黒いノートパソコンを指差す。