「分かった。倉田五課長にも言っておくよ。一課の速水が俺に話をしに来たことをな」


 速水が一礼し、急ぎ足で歩き出す。


 俺も後ろ姿を見ながら、気に掛けていた。


 あの女刑事は大丈夫かなと。


 実際、心配になるのだ。


 俺も今まで刑事部のいろんな人間たちを相手してきたのだが、速水はどこかしら不可思議な人物だった。


 別に深く気に留めることはなかったにしろ、裏で重大なことを抱え込んでいそうな気がしている。


 俺自身、裏警察である組対とはいえ、一刑事として今回の事件に臨むつもりでいた。


 何かがあると思いながら……。


 大口検事が何かを握っていることも、薄々分かってきていて。


 東京高検近辺のビルに、北川が潜んでいる可能性が大だった。


 もちろん新宿区内で篠原優子が発見されて任意同行され、所轄の新宿北署において事情