「俺に寄りかかっていいから、寄りかからせて。それだけの話。簡単じゃん」 「宇治橋……くん」 名前を呼ぶと、ゆっくり彼が頭を上げた。 「千尋、でしょ。あるみ」 それは、ある春のある時間の出来事。 彼とあたしの、小さな出逢い。 「……千尋、くん」 「………うん」 無知なあたしに"寄りかかり方"を教えてくれたのは。 そんな彼でした。