よろしくって…
この人マジで変人…

「ゆかちゃんやっとしゃべってくれた」

少し嬉しそうに彼は
隣のブランコに移動した

「俺ねよくこの公園くるんだ」

彼が一人ごこちにしゃべり始めた

「桜も咲かないけど…。
この静かさがいぃんだ」

「…上野君どこから来てるの…?」

彼をこの地区で見かけたことはない
ゆかはそう思った

「えーっと内緒ー」
「はぁ?何で?
人が聞いてんのに!?」
「ゆ、ゆかちゃん怖い…」

あまりの苛立ちにキレると
春斗が後ずさった

「ご、ごめん…」

「「…………」」

お互いに沈黙が続く

き、気まずい…

「あ、あの上野く…」
「ゆかー。母さんが帰って来いって」

一番上の兄が呼びに来た

「えっ!?
えーっとえーっと上野君明日またねっ!!」

慌てて彼に渡した「またね」
彼は少し俯いて顔を上げた

「うん。また、また明日ね」

心なしか彼の顔が赤い気がした

「また明日」

その言葉が私の中に春風をもたらした