その後、かすみの返事はなく、隆祐はため息をついてから仕事を始めた。
「まだ秘密にしてることがあるのかなぁ・・・。」
翌日、かすみは裏庭の焼却炉の前でうめき声をあげている隆一を見つけた。
「先生、どうしたんですか?」
「灰を取ろうとしたら誤ってふたが半分以上閉まってしまって・・・手が抜けないんだ。
この扉みたいなやつ・・・痛んでいたんだな。
ぶっこわしてもらわないと、抜けないと思うから用務員さんか男の先生呼んできてくれないか。ううっ・・・・うっ・・・」
(大丈夫・・・隆祐さんのお兄さんだもんね。・・・)
かすみはさっと、隆一の前に手を出すと閉まった鉄のふたをグイッと引き開けた。
「あっ・・・助かった。・・・でも、春川・・・君は・・・。
そんな能力があったんだね。」
「隆祐さんから何も聞いてなかったんですか?」
「隆祐が?うん・・・あいつ知ってたんだ。
そうか。」

