「愛斗…お前結構真面目なのな」

ポンッと背中を叩かれ、チラリと視線で答える。わかってくれるか、友よ。

「真面目だよ、俺は」
「悪いけど、もっと軽いと思ってた」
「よく言われる」

父に似て口が上手いものだから、勘違いされ易い。
まぁ、その勘違いを良いことに上手くやってきたのは、何を隠そう俺自身なのだけれど。

「正直さ、抱くなら誰だっていいんだよ。ほら、隣の木元とかでも全然OK」
「あぁ、あいつお前のこと好きそうだな」
「愛が無くていいならいつだってcome on!だよ」
「うわっ。ヤな奴」
「でもさ、愛のある行為はなかなか難しいんだよ」
「俺には愛の無い行為の方が難しいわ」
「愛のある行為にしようと思うから、こうして毎晩我慢してるわけよ。わかる?結構キツイんだよ、これ」
「そりゃまぁ…ご愁傷様としか言えねぇわな」
「何とかして、あの好奇心の塊。そろそろ俺の我慢も限界」
「無知ってやつだからな」
「怖いよ?無知ってマジ怖いから」

そんな風に語り合う少年二人の前に、何だか複雑そうな面持ちの父親が二人。互いに顔を見合わせ、うーんと唸っている。

「何て言うか…昔の…俺?」
「プラス麻理子?みたいな…」
「最悪な組み合わせやな。さすがメーシーの息子」
「うん。さすが麻理子から生まれただけある」

何だか随分な言われ様のような気もしないでもないけれど、納得してくれたようなのでヨシとしよう。


こうして二人の父親と息子達の静かな戦いは幕を下ろした。