俺からしてみれば、母の良いところなど「元トップモデルだ!」と言われてあっさりと納得できる容姿くらいだ。内面的なところなど、残念ながら三日くらい時間をもらわなければ挙げられそうにない。

いや、三日では足りないかもしれない。

「何が良かったの?アレの」
「ママに向かってアレって言うな」
「あぁ…sorry.で、どこよ?」
「そうだな…」

口元に手をやり、父はふふっと笑う。相変わらず女みたいだな…と、失礼ながら思った。

「あれで結構可愛いんだよ、マリーは。おこちゃまなマナには、まだまだわかんないだろうけどね」

嗚呼、この人はバカなんだ。

申し訳ないけれど、それで納得する他、呑み込む術が見当たらなかった。

可哀相な人だ、うちの父親は。

そう諦めた、17歳の初夏。