始末屋 妖幻堂

「小太を、どこにやったのだ」

 先走りすぎ、と取れなくもない。
 伯狸楼に連れ去られた可能性は高いが、まだそうと決まったわけではない。

 しかし牙呪丸の行動には、理屈がない。
 言われたことを成すのみだ。
 目的のために、片っ端から怪しい点を潰していく。

 しかも時間をかけて慎重に、という気など、さらさらない。
 聞きたいことをずばんと聞いて、知らなければ次へ行く。
 合理的にも思えるが、今のような場合は危険極まりない。

「何でそんなことを聞く。お前、あの小僧の知り合いか?」

「何故でも良い。別に我はあのような小倅、どうでも良いのだがな。我の相方が難儀しているのだ」

 聞いている亡八のほうが、困ってしまっている。
 訳がわからない。

「と、とにかく、お前のような奴に嗅ぎ回られちゃ困るんだよっ!」

 やけくそ気味に叫び、亡八は懐から匕首を取り出した。

「・・・・・・良く見りゃ兄ちゃん、綺麗な顔してるじゃねぇか。そんだけ良い顔してりゃ、男だって売り物になるぜ。こりゃあ、また面白いモンが手に入った。小菊の代わりに、ちょうど良いぜ」