「で、でも・・・・・・。あの、あたし、遣り手婆に熱湯をかけられて。胸からお腹に、酷い火傷の痕が・・・・・・」

「ん? どれどれ」

 あくまで軽く、佐吉は、ひょいと小菊の着物の合わせを少し引っ張り、中を覗き込んだ。

「~~~っ!!」

 小菊が慌てて、わたわたと暴れる。
 いざ佐吉と一緒になったときに引かれないためにも、今確かめて欲しいといえばそうだが、好きな男にいきなり胸元を覗かれるのは恥ずかしい。
 自分で胸元をくつろげるのは恥ずかしくてできないが、佐吉に脱がされるのも恥ずかしい。
 どうしていいかわからず、小菊は手を宙に浮かせたまま、怪しく視線を彷徨わせた。

「・・・・・・良く見えねぇけど・・・・・・。でもそんなことより、清が無事で良かったよ。傷はあるかもしれないけど、崩れちまったわけでもねぇだろ? 形は、ちゃんとあるぜ」

 するりと、佐吉の手が小菊の着物に滑り込む。
 ふわりと胸を包まれ、小菊は飛び上がった。

「へへ。うん、良い形だ」

「やっ・・・・・・。さ、佐吉さんっ・・・・・・」

 そのまま引き寄せられ、佐吉に抱きすくめられる。
 佐吉は抱きしめた小菊を押し倒そうとしたが、身体を捻った拍子に顔をしかめた。

「・・・・・・あっ、さ、佐吉さん。傷が・・・・・・」

 慌てて小菊が身を起こし、佐吉の肩に手を添えて支えた。
 ゆっくりと、佐吉を横にする。