始末屋 妖幻堂

「うん。やっぱ良い薬草を使ったら、治りも早ぇな。もう大丈夫だろ」

「すまねぇな。あんたにゃすっかり世話んなっちまって・・・・・・」

 言いながら顔を上げた佐吉が固まった。
 そのまま、部屋の入り口を凝視する。
 入り口には、小菊が立っていたのだ。

「・・・・・・清・・・・・・」

 小菊は唇を引き結んだまま、その場に突っ立っている。
 千之助は禿に命じて、水を張ったたらいと布を持って来させた。

「ふむ。これで全ての糸が繋がった。最後の最後で、小菊がお清じゃなかったら、どうしようかと思ったがな」

 ふふ、と笑いながら、千之助は絞った布で佐吉の身体を拭いた。

「さて。これでお前さんも小菊も廓から取り返したし、廓もぶっ潰した。後は、あんたの体調が治れば、その後は好きにすりゃいい」

「え、あの廓、なくなったのか?」

 佐吉が千之助を見る。
 千之助は、さらっと事の顛末を話した。

「・・・・・・あんたぁ、強いんだな」

 感心したように言う佐吉は、実際に村で男どもを倒した千之助を知っているせいか、驚きはしたものの、案外すんなりと納得した。

「これまでのことは、まぁそういうわけで、何の心配もいらねぇわけなんだが。これから、どうするかってことなんだな・・・・・・」

 千之助は、ちらりと入り口近くに座っている小菊を見た。
 おそらく佐吉は、小菊と一緒にどこぞで暮らすことを望むだろう。

 二年も必死で捜し、命懸けとも言える方法で、小菊を逃がしているのだ。
 あのようなヤクザ者に無礼を働いた上、その隙に監視していた娘が逃げたとなれば、どんな目に遭わされるかわからない。

 それしか方法がなかったのだが、やってのけたところを見ても、やはり佐吉は小菊を想っているのだ。