「そうだよな。同じ屋根の下にいる女子にまで手ぇ出されちゃ、たまったもんじゃねぇわな。つーことは、初めはお前さんも、さほどでもなかったってことかい」
小菊はまた頬を染め、黙り込んだ。
浮いた噂で、良い気持ちを持っていなかったとしても、元々気にはなっていた男だ。
噂に反応してしまうのも、心惹かれていた故だろう。
「俺っちは、佐吉とちゃんと話したんだがな。あのお前さんが攫われた日、佐吉はお前さんを連れて、村からどこぞへ逃げる予定だったそうだ。佐吉もそこまで馬鹿じゃねぇ。長の家から引き取った奴らを託した野郎がヤバいかもって、気づいたんだ。お前さんが攫われるちょっと前から、あいつは引き取った奴らを出すのを渋ったようだな」
「あ、そういえば、何だかそんなことを、皆で話したことがあります。あたしが攫われる、五日ほど前でしょうか。その頃にはもう、重病人は亡くなってて、口入れ屋に行こうって人が二、三人になってたんですけど。その人たちと、佐吉さんが」
「その二、三人は? 病が治ったのか?」
千之助の質問に、小菊は軽く首を振った。
「元々佐吉さんの小屋にやってくる人というのは、今にも死にそうなほどの重病人か、さしてどこも悪くないようなお人かの、どちらかです。残ってた人たちは、後者ですね」
小菊はまた頬を染め、黙り込んだ。
浮いた噂で、良い気持ちを持っていなかったとしても、元々気にはなっていた男だ。
噂に反応してしまうのも、心惹かれていた故だろう。
「俺っちは、佐吉とちゃんと話したんだがな。あのお前さんが攫われた日、佐吉はお前さんを連れて、村からどこぞへ逃げる予定だったそうだ。佐吉もそこまで馬鹿じゃねぇ。長の家から引き取った奴らを託した野郎がヤバいかもって、気づいたんだ。お前さんが攫われるちょっと前から、あいつは引き取った奴らを出すのを渋ったようだな」
「あ、そういえば、何だかそんなことを、皆で話したことがあります。あたしが攫われる、五日ほど前でしょうか。その頃にはもう、重病人は亡くなってて、口入れ屋に行こうって人が二、三人になってたんですけど。その人たちと、佐吉さんが」
「その二、三人は? 病が治ったのか?」
千之助の質問に、小菊は軽く首を振った。
「元々佐吉さんの小屋にやってくる人というのは、今にも死にそうなほどの重病人か、さしてどこも悪くないようなお人かの、どちらかです。残ってた人たちは、後者ですね」


