始末屋 妖幻堂

「んにゃ、さっき言ったろ。お前さんを生娘に戻すことなんかできねぇ。ただホレ、穢れを拭い去ることはできるぜ」

「・・・・・・」

「ただなぁ、やることぁ一緒だ。ヤクザ者か、化け物かの違い・・・・・・」

 言いながら、ふふ、と笑う千之助を、狐姫がきろりと睨んだ。

「要するに、お前さんの考え方一つさ。穢れと取るかどうか。男なんて皆同じと言ってしまえば、そうだからな。俺だって、あいつらと変わらねぇよ。男に抱かれたからって、穢れたと思わなければ、別に何てこたねぇ」

「・・・・・・旦那様の言う、『穢れを拭い去る』というのは、どういうことなんですか?」

 小菊が、幾分しっかりとした目つきで言う。
 顔色はまだ青いが、徐々に頭もしっかりしてきたようだ。
 己で今の状況を考えようとしている。

「まぁ・・・・・・一応俺っちは、救済の力があるからな。お前さんの傷を癒すことぐらいはできる。今後お前さんが、好いた男相手でも怯えることがないよう、身体を開く・・・・・・っていうのかね」

「・・・・・・」

「あんたはこのままじゃ、いざ好いた男とそういう仲になっても、どうしても身体が拒否するようになっちまうかもしれない。そりゃあねぇ、好いた男に癒してもらうのが一番なんだよ。でもそいつに、あんたが経験したことを言うわけにはいかないだろ? そうなると、男からしたら、自分が拒否されてるとしか思えない。事情を知らないのに、時間をかけて癒してくれる男なんざ、そういないよ。そうこうしているうちに去られたら、またあんたは傷つくだろ?」

 狐姫の補足に、小菊は俯いて考える。
 千之助は、煙管を狐姫に渡した。
 硬い表情の狐姫は、ちらりと千之助を見、黙って煙草を詰める。