始末屋 妖幻堂

「あそこにいた奴らにか。それが折檻か?」

「折檻の意味もあろうね。けど・・・・・・逃げる気をなくすためだろう。もういきなり、見世物の練習をさせられたんじゃないか?」

 小菊は真っ青になりながらも、ぶんぶんと首を振った。

「ち、ちが・・・・・・。あああたしは、豚は相手にしてない・・・・・・!」

 泣きながら訴えた途端、う、と口を押さえる。
 慌てて狐姫が、傍にあった器を小菊の口元にあてがった。
 幸いここ数日、何も食べていないので、出るものもない。

 ぜぇぜぇと肩で息をする小菊の背中をさすりながら、狐姫はさりげなく、小菊の匂いを嗅いだ。

「大丈夫。獣の臭いはしないよ。あそこにそんなものもいなかったし」

 ただ、男の臭いは相当するけどね、と小さく言う。
 ふ、と千之助は紫煙を吐き出した。

「いわば余興の仕込みってか。ま、お前さんが単に可愛いからってのもあろうな」

 くるくると手の中で煙管を回しながら、千之助は小菊を窺った。

「へ。身体に傷があっても、犯す分にゃ気にならねぇか。小菊ほどの器量があれば、多少傷があっても十分太夫としてやっていけるだろうに」

「んーでも、そういうわけにもいかないんだよねぇ。特にああいう落ち目の廓はさ。見てくれが綺麗な太夫なだけじゃ、他にいるもの。何ぞ目新しいことで、客を集めたかったんだろうさ」

「お前さんが、『妖(あやし)の太夫』として君臨してたようにか」

 千之助の言葉に、ふ、と狐姫が笑う。