始末屋 妖幻堂

「長は大丈夫だ。皆、病になったりして出されたんだろ?」

「・・・・・・何で出されたんだろう? ああ、あちきは一時期、何かやけに体力が落ちたんだ。ちょっとした仕事も辛くなってさ」

「あちき、わかんない。病になった記憶もないんだけどな」

「あんたは、やたら失敗が多かったんだよ。何ぞ悩みでもあったんじゃないのかい。しょっしゅう上の空だったもの」

 どうやら身体に不調を感じなかった者は、里の影響がなくなったら、そのときのことは覚えていないらしい。
 だが周りの者が、都合良く解釈してくれている。

「ふむ。お前さんら、家族はないのか」

「うん。あちきと、芙蓉はそうだね。でも小菫らは、外から働きに来てた。家は、あるよね?」

 桔梗の言葉に、小菫がこくんと頷く。

「尾鳴村の長のところでは、住み込みで働かしてもらってたんだ。小萩と桃香もそうだよ。小萩は結構遠い村から来てた」

「そうか。お前さんらが伯狸楼に入れられて、二年経ってる。そんなもん、といえばそんなもんだが・・・・・・帰りたいか?」

 貧しい村では、よそに奉公に出ることなど珍しくない。
 遠いところに働きに行けば、五年や十年、帰らないことだってザラだ。

 二年程度では、家族も心配すまい。
 だから騒ぎにもなっていないのだ。