「長・・・・・・。ああ、そっか。そうそう、なかなか村の中では働き口もなかったけどね。あそこは暮らしやすかったし、長の畑とか手伝ったりしたら、実る頃には皆に分けてくれたものね」
「うち、お父が病になったとき、薬代もなかったんだけど、長があちきを雇ってくれたんだよね。結局助からなかったけど、町の薬売りからの薬も買えたよ」
すん、と鼻をすすり上げ、小萩が懐かしそうに言う。
桃香が、部屋の奥に走って小菊の枕元に座った。
「ああ・・・・・・。やっぱりこの子、見覚えがあると思った。長のところの、お清ちゃんだ」
「やっぱそうかい」
千之助が、やっと口を開いた。
「これで大体の記憶が戻ったな。そっちの男も知ってるだろ? ふらふら遊び歩いてた、佐吉って野郎だよ」
桃香が、佐吉を見る。
ああ、と少し照れくさそうに笑った。
「あちき、この人好きだったんだよね」
「え、桃香、あんたもかい」
小菫がにじり寄る。
芙蓉も少し唇を尖らせ、不満そうに言った。
「佐吉さん、あちきのとこにも夜這いに来た。人気のある人だって、わかってたけど」
く、と千之助は下を向いて笑いを噛み殺し、その後ろで呶々女の眉が吊り上がる。
女子からしたら、このように誰彼構わず口説いているような男、許し難いのだろう。
「うち、お父が病になったとき、薬代もなかったんだけど、長があちきを雇ってくれたんだよね。結局助からなかったけど、町の薬売りからの薬も買えたよ」
すん、と鼻をすすり上げ、小萩が懐かしそうに言う。
桃香が、部屋の奥に走って小菊の枕元に座った。
「ああ・・・・・・。やっぱりこの子、見覚えがあると思った。長のところの、お清ちゃんだ」
「やっぱそうかい」
千之助が、やっと口を開いた。
「これで大体の記憶が戻ったな。そっちの男も知ってるだろ? ふらふら遊び歩いてた、佐吉って野郎だよ」
桃香が、佐吉を見る。
ああ、と少し照れくさそうに笑った。
「あちき、この人好きだったんだよね」
「え、桃香、あんたもかい」
小菫がにじり寄る。
芙蓉も少し唇を尖らせ、不満そうに言った。
「佐吉さん、あちきのとこにも夜這いに来た。人気のある人だって、わかってたけど」
く、と千之助は下を向いて笑いを噛み殺し、その後ろで呶々女の眉が吊り上がる。
女子からしたら、このように誰彼構わず口説いているような男、許し難いのだろう。


