始末屋 妖幻堂

「厄介だなぁ~。まぁ厄介事の始末を付けるのが、この店だからな」

 うんざりと、千之助が言う。
 狐姫が、そういえば、と少し顔を上げた。

「代価はどうすんだい? 依頼主は小太だろ? あいつから貰うにゃ、ちょいと荷が重そうだけど」

「そうさなぁ~。意外に良いモン持ってそうだったが」

 ふふ、と笑いながら、千之助は少し考えた。

「でも根こそぎ頂くのもな。それに、小菊のことは佐吉も絡んでる。奴からも頂くが・・・・・・こっちはあんま、期待できねぇなぁ」

「そうだねぇ。しょうもない男だもんね。でもさ、小菊の想い人だろ? 小菊が目覚めたら、あいつに添わすのかい?」

「どうするかな。佐吉と話をした限りじゃ、小菊のことだけは真剣だったようだが。ま、それは小菊次第だな。小菊が佐吉についていくっつった日にゃ、好きにすりゃいい。そんでやっぱ佐吉に振り回されても、もうそんなこと、俺の知ったこっちゃねぇ」

「小菊が佐吉と出て行ったら、小太の奴、可哀相だねぇ」

 ぷぷぷ、と狐姫が口を押さえて肩を震わす。

「ま、若ぇうちは、失恋ぐらい何度でもするもんだ。色恋は、そうそう上手くいくもんじゃねぇ」

「おや、旦さんは散々失恋してきたんかい?」

 狐姫が、きろりと千之助を睨む。
 千之助は、ちょっと笑って狐姫の頭を撫でた。