「小太のところに行ってみるか」
何度か小菊と会っている小太なら、亡八の顔も見知っていよう。
もしかしたら、張られているかもしれないが、千之助のところに小菊がいるとまでは、わかっていないはずだ。
小太の店は、青菜や乾物を扱っている八百屋だ。
誰が出入りしても、おかしいことはない。
千之助は行李を引き寄せ、商品を少しだけ詰めた。
「あ、じゃあ、これをどうぞ」
小菊が立ち上がり、厨から竹の皮に包んだ弁当を差し出した。
中身は稲荷寿司だろう。
「おんや、わざわざ用意してくれたのかい」
包みを受け取り、千之助は部屋の奥に向かって、ぱちんと指を鳴らした。
たたた、と杉成が駆けてくる。
昨日もそうだったが、どこから現れたのか。
「杉成、俺っちがいねぇ間は、この‘おゆう’を守ってやるんだぜ」
ぽんぽんと小僧の頭を撫でながら、何か小さいものを杉成に手渡す。
夕べから千之助が作っていた、小さな棒切れの束だ。
細く削られ、竹串のように見える。
「今日はとらがいねぇからよ。他の奴出しても良いんだが、あんまごろごろ出てきても困るだろ。ま、昼は稲荷だし、間違いなく狐姫も現れらぁ。店も、心配せんでもこいつが接客すらぁな」
ひょいと行李を担ぎ、店を出て行く。
杉成はその後を追って店を開け、てきぱきと暖簾をかけた。
とりあえず小菊は、膳を下げて洗い物にかかることにした。
何度か小菊と会っている小太なら、亡八の顔も見知っていよう。
もしかしたら、張られているかもしれないが、千之助のところに小菊がいるとまでは、わかっていないはずだ。
小太の店は、青菜や乾物を扱っている八百屋だ。
誰が出入りしても、おかしいことはない。
千之助は行李を引き寄せ、商品を少しだけ詰めた。
「あ、じゃあ、これをどうぞ」
小菊が立ち上がり、厨から竹の皮に包んだ弁当を差し出した。
中身は稲荷寿司だろう。
「おんや、わざわざ用意してくれたのかい」
包みを受け取り、千之助は部屋の奥に向かって、ぱちんと指を鳴らした。
たたた、と杉成が駆けてくる。
昨日もそうだったが、どこから現れたのか。
「杉成、俺っちがいねぇ間は、この‘おゆう’を守ってやるんだぜ」
ぽんぽんと小僧の頭を撫でながら、何か小さいものを杉成に手渡す。
夕べから千之助が作っていた、小さな棒切れの束だ。
細く削られ、竹串のように見える。
「今日はとらがいねぇからよ。他の奴出しても良いんだが、あんまごろごろ出てきても困るだろ。ま、昼は稲荷だし、間違いなく狐姫も現れらぁ。店も、心配せんでもこいつが接客すらぁな」
ひょいと行李を担ぎ、店を出て行く。
杉成はその後を追って店を開け、てきぱきと暖簾をかけた。
とりあえず小菊は、膳を下げて洗い物にかかることにした。


