始末屋 妖幻堂

「さぁ、かかって来ぬか。来ぬなら、こちらから行くぞ」

 ぴしりと蛇体で床を叩く牙呪丸に向かっていく者はない。
 だが、どちらにしろ、このままこの美青年を逃すわけにもいかないのだ。

 化け物ではあるが、阿片のことまで知っている者を逃がすわけにはいかない。
 殺すにしろ、捕まえて見世物にするにしろ、一旦は取り押さえないといけないのだ。

 そう考えがまとまると、返って肝も据わるのか。
 男たちは顔を見合わせ、頷き合うと、一斉に得物を構えて牙呪丸に飛びかかった。

 同時に牙呪丸の蛇体も唸る。
 牙呪丸に不用意に近づけば、蛇体の鞭の餌食になる。

 だが。

「甘いわっ」

 そうそう同じ手に引っかからない分、頭が良いのか、上手く避けられた何人かが、隙を突いて拳を牙呪丸の肩に打ち込んだ。

「どうだ!」

 拳といっても、素手ではない。
 しっかりと鉄甲が嵌っている。
 牙呪丸の動きが止まった。

 その隙に、反対側からも男が突っ込んできた。
 こちらは小さな武器では不安だったのか、木刀を振りかぶっている。

「食らえぇっ」

 木刀が、牙呪丸の頭目掛けて振り下ろされる。
 一人が攻撃に成功すると、ヒトというのは勢いづくのか。
 皆が皆、牙呪丸に殺到した。

 辛くも木刀を避けた牙呪丸だが、四方八方から攻撃され、彼の身体に傷が付く。
 あまりに近づかれては、蛇体の振りも強くならないのだ。