始末屋 妖幻堂

「汚い手で触るでないわ。これ以上着物を汚すと、呶々女が怖い」

「何言ってやがるんだ! おい、袋にして、とっとと叩き出しちまえ!」

 頭に来た男の言葉に、牙呪丸を取り囲んでいた者らが、一斉に飛びかかった。
 一旦腰を落とした牙呪丸は、その場でくるりと一回転する。

「ぎゃっ」

「がっ」

「ぐはっ」

 叫び声が上がり、飛びかかった男たちが、牙呪丸の蛇体の下半身に次々と薙ぎ倒される。
 そのうちの一人が、小菊のほうに吹っ飛んだ。

「やべっ」

 思わず走り込んだ千之助だが、その横を狐姫が風のようにすり抜けた。
 千之助より早く小菊の元へと駆け寄ると、飛んでくる男を尻尾で叩き落とす。
 そしてそのまま、小菊を庇うように、その場に留まる。

「な、なな・・・・・・」

 男たちが動揺する。
 いきなり乱入してきた美青年の下半身が大蛇になり、仲間を打ちのめしたのだ。
 さらに、取り戻した小菊の前には、大きな狐が立ちはだかっている。

 皆、茫然と立ち尽くした。