「だったら! 仲間に入ったほうが、お互いのためだろ? 俺たちはあんたの腕を買う。あんたは今後も大手を振って伯狸楼に登楼できるってこった」

 ぱん、と手を打って、男は明るく言った。

「俺っちが、うんと言ったら、この場はどうなる。その小僧は返してもらえんのかい」

 千之助は懐手をして、小太を顎で指した。
 男が渋い顔になる。

「それは・・・・・・問題ありだな。こいつは裏を知りすぎた。ただでさえ、最近はお上の目が光ってるんだ。下手に解き放てば、こっちの身が危うくなる」

「小太は、俺っちの客だぜ?」

「客? 何の客だ? 支払いが残ってるってことかい? そんじゃ丁度良い。あんたがその小僧の始末をつけな。どうせ、金を払わねぇから取り立てに捜してたんだろ? その身で払ってもらえよ。簀巻きにしちまえ」

 男の目が異様な輝きを帯びる。
 人を殺すことなど、何とも思ってないようだ。

「こいつを殺したって、金は回収できねぇな」

 ふん、と鼻を鳴らす千之助に、男は小太をしげしげと見た。
 このような小僧が払える金額など、知れているだろうに。

「かっちりしてるねぇ。そんじゃどうだ、どうせそう大した金額じゃねぇだろ? 俺が、こいつの始末料として、そいつをあんたに払おう」

 男は千之助を、すっかりお仲間にしたと思っている。
 軽く請け負ったが、その途端、千之助がにやりと笑った。