始末屋 妖幻堂

「邪魔するぜ」

「な、何モンだっ」

 初めは仲間か廓の者とでも思っていた男たちだが、声で知らない人物だと気づいたようだ。
 千之助たちが逆光になっているので、姿ははっきりと見えていないが、男たちは一斉に腰を落として身構えた。

 千之助は、蔵の中に目を走らせた。
 中央の梁から垂れ下がった縄に、小太がぶら下がっている。
 ぐるぐる巻きにされて、宙吊りの状態だ。

 多少の折檻はされたようだが、血みどろなわけではない。
 吊されているといっても、手首だけや逆さ吊りなどの拷問ではなく、腰の辺りで床と平行に吊されているので、そう辛くもないだろう。
 普段は床に転がされて、尋問のときだけ吊されていたのかもしれない。

 小太の無事を確かめ、千之助は蔵の中に足を進めた。
 牙呪丸も続く。

「その小僧は、俺っちの客だぜ。依頼主がいなくなったら困るんだよなぁ。廓に小僧はいらねぇだろ。返してくんな」

 言いながら、千之助はひょいと片手を挙げた。
 それを合図に、呶々女が外から扉を閉める。
 背後から射し込んでいた日が遮られ、蔵の中は薄暗くなる。

「な、何だ? 何言ってやがる・・・・・・」

 逆光が遮られたため、男たちの目に、入り口に立つ千之助たちがはっきり見えた。
 このようなところに乗り込んでくるには、あまりに貧相な二人連れだ。
 男たちの誰より小さく細っこい男と、背は高いが同じく細く、男でも目を見張るほどの美貌の青年。
 どちらも腕っぷしなど、期待できそうにない。

 拍子抜けしたように、ぽかんとしている男たちの間をすり抜け、千之助は吊り下げられている小太に近づいた。