始末屋 妖幻堂

「阿片なんぞに手を出しただけじゃなく、何の関係もない人を、己の利益のために薬漬けにするたぁ、外道も外道だぜ」

「や、薬漬けじゃねぇよ。最終的には、楽にしてやったぜ」

「なお悪いわ。利用するだけ利用して殺したってこったろ」

 くるくるっと回した小刀で、千之助はとん、と己の肩を叩いた。

「ついでにお前さん、今も殺しを働いたな」

 ちょい、と小刀で男の足元の佐吉を指し示す。
 背中から血を流し、佐吉はぴくりとも動かない。

「・・・・・・お前はまだまだ俺から聞き出したいことがあろうがな。俺っちは、もうお前さんにゃ用はねぇよ」

 言いながら、千之助はとん、と軽く地を蹴った。
 ふわりと懐から出した何かを、男の背後に回ると同時に、背中に叩き込む。
 男がよろめいた。

「今のは佐吉の分」

 少し離れて面白そうに言う千之助に、男は束の間ぽかんとした後、はっとしたように、必死で己の背中を見ようと身体を捻った。
 その途端、苦痛に顔が歪む。

「おいおい。そいつぁ匕首と違って細っこいから、あんまり捻ると身体ん中で折れるぜ」

 けけけっと笑い、千之助は青くなって固まる男に向かって、再び懐に入れた手を抜いた。
 指の間にそれぞれ一本ずつ、計四本の竹串のようなものが挟まっている。
 杉成の使う矢と同じ物だ。