言いながら、千之助はずいっと男に近づく。
小刀を持っているものの、普通に歩くように、まるで無防備に近づいただけだが、男はぱっと飛び退った。
何が変わったわけでもないのに、何か言いようのない恐怖を感じる。
男は背中を冷たい汗が伝うのを感じながら、目の前の千之助を睨んだ。
「お前さんら、佐吉から受け取った村人を、阿片漬けにした上で、女郎屋や人足小屋に売り飛ばしたんだな?」
くるくると、手の上で小刀を回しながら、千之助が問う。
返答如何によっては、すぐにでも小刀が飛んできそうだ。
「お、男はそうでもねぇぜ。元々人足小屋なんざ、牢人の集まりだからな。仕事はきついし、衛生状態だって知れたもんだ。ただでさえ弱った奴らなんか、そうそうもたねぇ。わざわざ高い阿片を使うまでもなく、始末はつけられる。働き口ってのには変わりねぇ。嘘はついてねぇぜ」
「ま、そうだな。佐吉には、口入れ屋に連れて行ってやるっつってたらしいな。その口入れ屋が示すところが、阿片小屋か?」
千之助の指摘に、男は怪しく視線を彷徨わせた。
「・・・・・・さっさと言わねぇか。俺っちは、気ぃ長いほうじゃねぇんだよ」
苛々と、千之助は足元の小石を蹴飛ばした。
それが、びしっと男の腕を打つ。
「さっきも言ったが、阿片はそうそう手に入るもんじゃねぇ。そんな、佐吉から買った奴ら全員に使える代物じゃねぇんだ。阿片を使ったのは、伯狸楼にやった女だけだ。それも、俺が使ったのは、ほんの軽くだぜ。手元に長く置いておけるほど、俺だって金があるわけじゃねぇ。何人もの世話はできねぇよ。なるたけ早く、売っ払っちまわねぇと」
小刀を持っているものの、普通に歩くように、まるで無防備に近づいただけだが、男はぱっと飛び退った。
何が変わったわけでもないのに、何か言いようのない恐怖を感じる。
男は背中を冷たい汗が伝うのを感じながら、目の前の千之助を睨んだ。
「お前さんら、佐吉から受け取った村人を、阿片漬けにした上で、女郎屋や人足小屋に売り飛ばしたんだな?」
くるくると、手の上で小刀を回しながら、千之助が問う。
返答如何によっては、すぐにでも小刀が飛んできそうだ。
「お、男はそうでもねぇぜ。元々人足小屋なんざ、牢人の集まりだからな。仕事はきついし、衛生状態だって知れたもんだ。ただでさえ弱った奴らなんか、そうそうもたねぇ。わざわざ高い阿片を使うまでもなく、始末はつけられる。働き口ってのには変わりねぇ。嘘はついてねぇぜ」
「ま、そうだな。佐吉には、口入れ屋に連れて行ってやるっつってたらしいな。その口入れ屋が示すところが、阿片小屋か?」
千之助の指摘に、男は怪しく視線を彷徨わせた。
「・・・・・・さっさと言わねぇか。俺っちは、気ぃ長いほうじゃねぇんだよ」
苛々と、千之助は足元の小石を蹴飛ばした。
それが、びしっと男の腕を打つ。
「さっきも言ったが、阿片はそうそう手に入るもんじゃねぇ。そんな、佐吉から買った奴ら全員に使える代物じゃねぇんだ。阿片を使ったのは、伯狸楼にやった女だけだ。それも、俺が使ったのは、ほんの軽くだぜ。手元に長く置いておけるほど、俺だって金があるわけじゃねぇ。何人もの世話はできねぇよ。なるたけ早く、売っ払っちまわねぇと」


