始末屋 妖幻堂

---やべぇ・・・・・・---

 千之助の危機に、狐姫が黙っているわけはないのだ。
 だが、狐姫の力を使うわけにはいかない。

 まして今は、結界も張っていない、人里の近くである。
 人外の力は、簡単に使うものではないのだ。

 首を絞められることに対してではなく、狐姫の行動に、千之助は焦った。

 そのとき。

 こちらに歩み寄って来ていた頭の男が、いきなり叫び声を上げた。
 大男が、驚いて振り返る。

 見ると、佐吉が背を見せた男に飛びかかっていた。
 石を握った手を振り上げている。

「くっ・・・・・・。この野郎!」

 佐吉が腕を振り下ろすのを避け、男は一旦しまっていた匕首を抜いた。

「食らえっ」

 男は容赦なく、佐吉の背中に匕首を叩き込んだ。
 同時に、千之助は大男の右腕に、拳を叩き付けた。

「ぎゃあああぁぁ!!」

 ただでさえ、半分千切れた腕だ。
 ごきっという音と共に、大男の腕が妙な方向に曲がった。