始末屋 妖幻堂

---とっとと片ぁ付けたほうがいいな---

 そう思い、身を沈めて大男の脛に斬りつけようとした瞬間、千之助の危惧したとおり、頭の男が動いた。
 千之助目掛けて、何かを放つ。

 咄嗟に小刀を振るって弾いたが、その隙に千之助自身が大男に弾き飛ばされた。
 もっとも初めと違って片手の攻撃なので、そう酷く吹っ飛ぶこともなかったが。

 が、転がった千之助に、大男は倒れ込むようにのしかかった。
 そのまま両手を、千之助の首にかける。

「この野郎・・・・・・。死にやがれっ」

 右手にはほとんど力が入っていないが、左手だけでも相当な力だ。
 千之助は顔をしかめて歯を食いしばった。

「おい、殺っちまうなよ。気を失う程度なら構わんが」

 頭の男が歩み寄りながら言う。
 頭からの命令だというのに、大男の力は緩まない。
 このような馬鹿力で締め上げられれば、息が詰まる前に、喉笛が潰れそうだ。

 大男を押しのけようと抵抗する千之助の耳に、かさりと僅かな草の音が聞こえた。
 常人には聞こえない、頭に直接響いてくる音。

 狐姫だ。
 狐姫が何か、行動を起こそうとしている。