「そもそも、何でそんな村外れで落ち合う約束をしたんだい? 一緒になるのを反対されてのことかい?」
小菊の本名はわからないが、男のほうは名前から察するに、そう身分が高いわけでもなさそうだ。
同じ村内のこと、身分が合わないという理由でもなさそうなのだが。
小菊も、初めて気がついたように、きょとんとした後、必死で考え出した。
「あ、あれ? 何でだろう・・・・・・。佐吉さんは清兵衛さんの次男坊で・・・・・・。両親は、佐吉さんとのことなんて知らないし・・・・・・」
「あんたの家は? 裕福だったのかい?」
親に売られたわけではないのなら、それなりに暮らせるだけの財力があってもおかしくない。
それに、佐吉が次男坊ということは、小菊が豪農の娘だった場合、釣り合わない可能性がある。
佐吉の家もそれなりであれば、養子に迎えるという手もあるが、貧農だった場合は、まず結ばれないだろう。
「裕福だった、というわけでもないですけど。普通で、飢えるってことはありませんでした。暮らしは楽ではありませんでしたが」
「あんたの村では、娘を女衒に売るような家もあったのかい?」
「・・・・・・いえ。作物が良く育つ土地でしたので、極端な天候が続かない限りは、そんなことは。売られたって話も聞きませんでした」
やはり、己に関すること以外は、良く覚えている。
狐姫はとりあえず、それ以外のことは聞かず、簡単なこの家の間取りなどを教えて、家の中でできる手伝いを言いつけた。
小菊の本名はわからないが、男のほうは名前から察するに、そう身分が高いわけでもなさそうだ。
同じ村内のこと、身分が合わないという理由でもなさそうなのだが。
小菊も、初めて気がついたように、きょとんとした後、必死で考え出した。
「あ、あれ? 何でだろう・・・・・・。佐吉さんは清兵衛さんの次男坊で・・・・・・。両親は、佐吉さんとのことなんて知らないし・・・・・・」
「あんたの家は? 裕福だったのかい?」
親に売られたわけではないのなら、それなりに暮らせるだけの財力があってもおかしくない。
それに、佐吉が次男坊ということは、小菊が豪農の娘だった場合、釣り合わない可能性がある。
佐吉の家もそれなりであれば、養子に迎えるという手もあるが、貧農だった場合は、まず結ばれないだろう。
「裕福だった、というわけでもないですけど。普通で、飢えるってことはありませんでした。暮らしは楽ではありませんでしたが」
「あんたの村では、娘を女衒に売るような家もあったのかい?」
「・・・・・・いえ。作物が良く育つ土地でしたので、極端な天候が続かない限りは、そんなことは。売られたって話も聞きませんでした」
やはり、己に関すること以外は、良く覚えている。
狐姫はとりあえず、それ以外のことは聞かず、簡単なこの家の間取りなどを教えて、家の中でできる手伝いを言いつけた。


