「そんじゃ、手早く質問といこうか。お前ら、佐吉から何を聞き出そうとしてた? 佐吉も始末するつもりで、今回は頭数揃えてきたんだろ? とっとと殺っちまわなかったってこたぁ、最後に何か聞き出さねぇとならんことがあったんだろ?」
「覚悟を決めたか。ふん、そうだな。冥土の土産に教えてやろう。そいつは、てめぇで俺たちに売った娘を、伯狸楼から逃がしやがったのさ」
「ほぅ?」
「今まで貰い受けた娘の中では一番だったし、ま、廓でも相当な稼ぎが期待できた上玉だったのによ。惜しくなったとみえて、ある日の買い出しの日に、わざと廓の男衆の気を引いたのさ。その隙に、小菊はどろん」
大男の口から『小菊』という名が出た瞬間、千之助の目が光った。
「ありがとよっ!」
叫ぶなり、千之助は前に飛んだ。
いつの間にか握られていた小刀を、鞘ごと振るう。
大男の、匕首を持った手に、力任せに打ち込んだ。
あまりの衝撃に、大男の手から匕首が弾け飛ぶ。
素早く、千之助は落ちた匕首を遠くへ蹴飛ばした。
「き、貴様・・・・・・」
大男が、打たれた手首を押さえて、千之助を睨み付ける。
鞘ごと打ったので、血は出ていないが、相当な衝撃だったのだろう。
顔が歪んでいる。
「覚悟を決めたか。ふん、そうだな。冥土の土産に教えてやろう。そいつは、てめぇで俺たちに売った娘を、伯狸楼から逃がしやがったのさ」
「ほぅ?」
「今まで貰い受けた娘の中では一番だったし、ま、廓でも相当な稼ぎが期待できた上玉だったのによ。惜しくなったとみえて、ある日の買い出しの日に、わざと廓の男衆の気を引いたのさ。その隙に、小菊はどろん」
大男の口から『小菊』という名が出た瞬間、千之助の目が光った。
「ありがとよっ!」
叫ぶなり、千之助は前に飛んだ。
いつの間にか握られていた小刀を、鞘ごと振るう。
大男の、匕首を持った手に、力任せに打ち込んだ。
あまりの衝撃に、大男の手から匕首が弾け飛ぶ。
素早く、千之助は落ちた匕首を遠くへ蹴飛ばした。
「き、貴様・・・・・・」
大男が、打たれた手首を押さえて、千之助を睨み付ける。
鞘ごと打ったので、血は出ていないが、相当な衝撃だったのだろう。
顔が歪んでいる。


