「おめぇは、伯狸楼の用心棒か。おや、入れ墨者だな。正規に雇われたモンじゃねぇってことかい」
逆さまにぶら下がったまま、千之助は男の腕を見た。
二重の輪が描かれている。
「よく喋る野郎だ。お察しの通り、伯狸楼さんは俺たちの大事なお客様さ。あすこはヤバい商売してるから、人集めにゃ一苦労してるんだ。その分良い金払ってくれるぜ」
千之助の動きを完全に封じ、男は己のことをばらした。
「ふ~ん。けどあんたら、今そればらしたってことぁ、もう佐吉に用はないってことじゃねぇのかい?」
真っ逆さまにぶら下がっているのに、特に動じることもなく、千之助は会話を続けた。
言いながら、ちらりと尻餅をついている佐吉を見る。
「そもそも佐吉は、あんたらがそんなヤバい奴らだって、知らなかったろ? 多分あんた・・・・・・」
ちらりと、背の高い男に視線を転ずる。
「あんたが、いっつも佐吉から人を受け取ってたんじゃねぇのか?」
頭であろう背の高い男は、一見しただけでは、そうヤバそうな奴には見えない。
他の二人よりは身なりも良いし、腰の匕首さえなければ、千之助のような都の店の旦那といわれても納得できる。
町といっても、この山の麓の町ぐらいしか知らないような佐吉を信用させるには、十分な見てくれだ。
逆さまにぶら下がったまま、千之助は男の腕を見た。
二重の輪が描かれている。
「よく喋る野郎だ。お察しの通り、伯狸楼さんは俺たちの大事なお客様さ。あすこはヤバい商売してるから、人集めにゃ一苦労してるんだ。その分良い金払ってくれるぜ」
千之助の動きを完全に封じ、男は己のことをばらした。
「ふ~ん。けどあんたら、今そればらしたってことぁ、もう佐吉に用はないってことじゃねぇのかい?」
真っ逆さまにぶら下がっているのに、特に動じることもなく、千之助は会話を続けた。
言いながら、ちらりと尻餅をついている佐吉を見る。
「そもそも佐吉は、あんたらがそんなヤバい奴らだって、知らなかったろ? 多分あんた・・・・・・」
ちらりと、背の高い男に視線を転ずる。
「あんたが、いっつも佐吉から人を受け取ってたんじゃねぇのか?」
頭であろう背の高い男は、一見しただけでは、そうヤバそうな奴には見えない。
他の二人よりは身なりも良いし、腰の匕首さえなければ、千之助のような都の店の旦那といわれても納得できる。
町といっても、この山の麓の町ぐらいしか知らないような佐吉を信用させるには、十分な見てくれだ。


