「挙げ句にお前、親と兄貴を見殺しにしたな。慎ましやかに暮らしてた家族が死んで、お前のような者が生き延びる」
『世の中そんなもんさね~』
千之助の後ろで、狐姫が後足で立ち上がり、踊るように言う。
辺りには狐火が踊り、普通の狐とは思えないほど大きく、且つ美しい狐が立ち上がって踊る。
現実に起こっていることとは、到底思えない。
佐吉はただ、立ち上がったものの、唖然としてその場に立ち尽くした。
「悪党になんなら、徹底的になりな。親を殺しておいて、まだそんなうじうじしてるような奴ぁ、どうせ長生きできねぇぜ」
「ち、違う!」
狐火に照らされて、さながら悪鬼のような千之助に、佐吉は思わず声を荒げた。
「俺は、親父を殺しちゃいねぇっ」
「嘘こけ。俺ぁ普通じゃねぇっつったろ。お前が家に帰ったときに、何人かの男が乗り込んで来たのは知ってんだ。そいつらに捕まる前に、お前は家を飛び出していった。その後に親父はそいつらに殺されたのさ」
佐吉は息を呑んだ。
一瞬知らなかったのかも、とも取れる表情をしたが、すぐに視線を落とす。
殺すところは見ていなくても、ああいう状況で自分が逃げ出せば、残された家族がどんな目に遭うか、乗り込んできた奴らを知る者ほどわかるだろう。
がくり、と佐吉は膝を付いた。
『世の中そんなもんさね~』
千之助の後ろで、狐姫が後足で立ち上がり、踊るように言う。
辺りには狐火が踊り、普通の狐とは思えないほど大きく、且つ美しい狐が立ち上がって踊る。
現実に起こっていることとは、到底思えない。
佐吉はただ、立ち上がったものの、唖然としてその場に立ち尽くした。
「悪党になんなら、徹底的になりな。親を殺しておいて、まだそんなうじうじしてるような奴ぁ、どうせ長生きできねぇぜ」
「ち、違う!」
狐火に照らされて、さながら悪鬼のような千之助に、佐吉は思わず声を荒げた。
「俺は、親父を殺しちゃいねぇっ」
「嘘こけ。俺ぁ普通じゃねぇっつったろ。お前が家に帰ったときに、何人かの男が乗り込んで来たのは知ってんだ。そいつらに捕まる前に、お前は家を飛び出していった。その後に親父はそいつらに殺されたのさ」
佐吉は息を呑んだ。
一瞬知らなかったのかも、とも取れる表情をしたが、すぐに視線を落とす。
殺すところは見ていなくても、ああいう状況で自分が逃げ出せば、残された家族がどんな目に遭うか、乗り込んできた奴らを知る者ほどわかるだろう。
がくり、と佐吉は膝を付いた。


