「俺があまりに清にまとわりつくからよ。清は冴の家族みたいなもんだったし。実際、長も清を娘として扱ってたしな」
「何故だ? 娘が必要だったのか?」
「清はなかなか可愛い奴だったからな。どこぞのお大尽に差し出すにゃ、申し分ない女だ。そのためには、女中なんぞよりも、長の娘のほうが良い。お大尽に添わせれば、長の地位も約束されるし、財も増える。自分の家は、冴が婿を取ればいいわけだし、そう考えれば娘は二人いたほうが良い」
幼くして両親を亡くした清を不憫に思ったのも、嘘ではないだろうがな、と呟き、佐吉はその場にしゃがみ込んだ。
千之助は、頭の中で情報を整理する。
もしかして、冴は佐吉を好きだったのだろうか。
その佐吉は清に言い寄っていたから、嫉妬であのように悪し様に言ったのかもしれない。
「お前は何で、清につきまとった? 高く売れるとでも踏んでたのか?」
佐吉の気持ちはどうあれ、彼が全ての鍵を握っているのだ。
おそらく『清』というのは小菊のことだろう。
小菊が攫われたのも、佐吉が絡んでいることは間違いない。
「初めはさぁ、可愛い面して初心いあいつを、単にからかうのが面白かったんだよ。俺みてぇな擦れっ枯らしの男からしたら、信じられねぇぐらい何も知らねぇ」
遠くを見ながら、佐吉はぽつりと呟いた。
「そのうちさ、何か、あまりにいい加減な自分が、恥ずかしく思えるようになっちまった。それまではさ、家の仕事もしねぇで、麓の宿場町まで行っては、賭場や岡場所で遊び回ってばかりいたんだ」
「よく金が続いたもんだな。場末の岡場所だって、それなりに金はいるぜ」
賭場で稼ぐことなど、ほぼ不可能だ。
佐吉のように強力な後ろ盾のない一農民など、すっからかんになりに行くようなところである。
「何故だ? 娘が必要だったのか?」
「清はなかなか可愛い奴だったからな。どこぞのお大尽に差し出すにゃ、申し分ない女だ。そのためには、女中なんぞよりも、長の娘のほうが良い。お大尽に添わせれば、長の地位も約束されるし、財も増える。自分の家は、冴が婿を取ればいいわけだし、そう考えれば娘は二人いたほうが良い」
幼くして両親を亡くした清を不憫に思ったのも、嘘ではないだろうがな、と呟き、佐吉はその場にしゃがみ込んだ。
千之助は、頭の中で情報を整理する。
もしかして、冴は佐吉を好きだったのだろうか。
その佐吉は清に言い寄っていたから、嫉妬であのように悪し様に言ったのかもしれない。
「お前は何で、清につきまとった? 高く売れるとでも踏んでたのか?」
佐吉の気持ちはどうあれ、彼が全ての鍵を握っているのだ。
おそらく『清』というのは小菊のことだろう。
小菊が攫われたのも、佐吉が絡んでいることは間違いない。
「初めはさぁ、可愛い面して初心いあいつを、単にからかうのが面白かったんだよ。俺みてぇな擦れっ枯らしの男からしたら、信じられねぇぐらい何も知らねぇ」
遠くを見ながら、佐吉はぽつりと呟いた。
「そのうちさ、何か、あまりにいい加減な自分が、恥ずかしく思えるようになっちまった。それまではさ、家の仕事もしねぇで、麓の宿場町まで行っては、賭場や岡場所で遊び回ってばかりいたんだ」
「よく金が続いたもんだな。場末の岡場所だって、それなりに金はいるぜ」
賭場で稼ぐことなど、ほぼ不可能だ。
佐吉のように強力な後ろ盾のない一農民など、すっからかんになりに行くようなところである。


