始末屋 妖幻堂

「けどあんたぁ、さっき『引き取った奴らは、大方が死んだ』って言ったな。そもそもそんな見るからに病の者が、売り物になるわけねぇ」

 きらりと光る目を向けられ、佐吉は押し黙った。

 しばらくしてから、ゆっくりと腰を上げる。
 土間におり、薄い戸に手をかけて、千之助を振り返る。

「こっちに来てくれ。あんたなら、夜でも見えるだろ」

 そう言って、戸を引き開ける。
 千之助は佐吉の後に続いた。

 外は月明かりが十分にあり、別に千之助でなくても、それなりに周りは見渡せよう。
 戸のすぐ横で、佐吉は小屋の裏を指差した。
 そこには、土を掘り返した跡と、少し大きな石が、墓標のようにいくつも並んでいる。

「・・・・・・大体、ここに来た時点で、皆相当弱ってたんだ。俺だって、そう金があるわけじゃねぇ。満足行く世話なんか、できねぇよ」

 ちょっと意外に思い、千之助は淡々と言う佐吉を見た。

「大体の奴が、死んじまった。身寄りのない奴らだったからな、引き取り手もない。だから、ここに埋めてやった」

「ほぅ。お冴さんは、あんたは口八丁のろくでなしだって言ってたがな。ちゃんと引き取った奴を、最期まで面倒見てやってたんかい」

 少し驚いたような顔で千之助を見た佐吉は、すぐに、ふ、と苦笑いとも取れる笑みを浮かべた。

「冴か。そうだな、あいつにゃ嫌われてるからよ」

 こつん、と足先の小石を蹴る。