始末屋 妖幻堂

「・・・・・・それは、お前さんが俺っちの客になるってことかい?」

「客?」

 怪訝な顔をする佐吉の身体を、千之助は見ながら言う。

「始末屋のほうの、な。俺っちだって、好きこのんで厄介事を引き受けてるわけじゃねぇんだ。それなりの実入りがあるからやってるんだよ」

 でもなぁ、と煙管を咥え、千之助は顎を撫でる。

「お前さん、金持ってるようにも見えねぇなぁ」

「・・・・・・金か。・・・・・・そうだな、そんなにはないが・・・・・・」

 ちら、と佐吉は小屋の外を見る。

 金もそれなりに必要だが、実際に始末屋の代価として千之助が依頼主からもらうのは、実はもっと別のモノだ。
 それだけの価値が、こいつにあるか・・・・・・?

「金は、今ここにはないが、きっと工面する」

「・・・・・・まぁいい。ところでここは、長の家から引き取った者らの家だろう? 何故誰もいない? お前さん、引き取った者らをどうしたんだ?」

 佐吉は束の間、じっと千之助を見た。
 簡単に人を信用しないところは、千之助的には評価できる。
 千之助はくるくると指先で煙管を回しながら言った。

「俺っちは、その預かってる娘のことを調べに、ここまで足を運んだのさ。折良く長のところの娘さんと知り合って、宿を提供してもらったわけだ。けどなぁ、やっぱり本名がわからねぇと、いくら村長でも確証までには至らない。いろいろ調べてるうちに、長の家の下男下女が、お前さんに引き取られたって聞いたのさ」

「それで、俺が長から引き取った奴らを売り払ったと思ったのか」

 ああ、と答え、千之助は再び煙管を咥えて、ちらりと佐吉の背後の壁を見た。
 佐吉の座っている壁の外側は、少しだけ土地が開けている。