---やっぱり最終的にゃ、佐吉自身に話を聞くしかねぇな---

 明日は何としても、佐吉を探し出してやる、と息をついた千之助は、ふと視線を落とした。
 冴が、千之助の身体に舌を這わせている。

---どうしたもんかな---

 明日にはおさらばだ。
 だからこそ、冴は初めの夜のように、性急に事を進めないのだろう。
 少しでも千之助との触れ合いを引き延ばすように、ゆっくりと舌を這わす。

---別れを惜しんでくれてる奴を、さっさと眠らせちまうのも可哀相だなぁ---

 千之助とて、冴を厭うているわけではない。

---ちょっとぐれぇ、気持ちに応えてやるべきかな---

 男の性というものか。
 必死な冴を見ていると、いじらしくなってしまう。

 そっと冴の肩に手を回すと、一瞬ぴく、と冴の身体が強張った。
 拒否されると思ったのか、おずおずと不安げな表情で見上げてくる。

「お冴さんは可愛いなぁ。俺っちにゃ、勿体ねぇぜ」

 ふ、と笑って言うと、千之助は冴を引き寄せて唇を重ねた。
 驚いている冴を、そのまま布団に押し倒す。