長は、ああ、と千之助に目を向けた。
「同じように家で働いておった娘なのですが。少し向こうの家の娘で、まだ小さかったときに、家族が流行病で亡くなりましてな。冴と同じ年の頃で、仲が良かったものですから、うちで引き取ったのです。女中として使うには、惜しいほどの器量だったもので、ほとんど娘同然に扱っていたのですがね」
「あたしに遠慮して姿を消したんじゃないかって、気になってるんだ」
---女中には惜しいほど器量好しの娘・・・・・・---
小菊だろうか、と、千之助の目が光る。
「そのお清という娘がいなくなったのぁ、いつの話ですかい?」
「二年前だよ」
冴が即答した。
「・・・・・・あれ? 何か凄く覚えてる。凄く、何か・・・・・・衝撃的な何かがあったような気がするんだけど・・・・・・」
即答した後、冴が首を傾げた。
二年前といえば、里が長に嫁いだ時期だ。
入れ替わりぐらいに、お清がいなくなったのだろう。
己とそう歳も変わらないような娘が父親に嫁いだのは、冴にとってかなりな衝撃だったようだ。
入れ替わるように仲の良かった娘が消えたのだったら、確かに覚えやすい。
「同じように家で働いておった娘なのですが。少し向こうの家の娘で、まだ小さかったときに、家族が流行病で亡くなりましてな。冴と同じ年の頃で、仲が良かったものですから、うちで引き取ったのです。女中として使うには、惜しいほどの器量だったもので、ほとんど娘同然に扱っていたのですがね」
「あたしに遠慮して姿を消したんじゃないかって、気になってるんだ」
---女中には惜しいほど器量好しの娘・・・・・・---
小菊だろうか、と、千之助の目が光る。
「そのお清という娘がいなくなったのぁ、いつの話ですかい?」
「二年前だよ」
冴が即答した。
「・・・・・・あれ? 何か凄く覚えてる。凄く、何か・・・・・・衝撃的な何かがあったような気がするんだけど・・・・・・」
即答した後、冴が首を傾げた。
二年前といえば、里が長に嫁いだ時期だ。
入れ替わりぐらいに、お清がいなくなったのだろう。
己とそう歳も変わらないような娘が父親に嫁いだのは、冴にとってかなりな衝撃だったようだ。
入れ替わるように仲の良かった娘が消えたのだったら、確かに覚えやすい。


