「お父。もしかして、佐吉に後のこと頼んだのかい?」

「うむ。あいつもふらふらしていると思ったが、いつの間にか山の中に、そういった家のない者たちのための家を造ったらしい。そこで面倒見てくれるって、請け負ってくれたんだよ。帰る家のない者ばかりだったから、助かった」

「何言ってるんだよ。あいつがそんな、慈善事業をするわけないだろ?」

 ぐい、と身を乗り出して、冴が訴える。

「あたし、あいつがヤバそうな奴らとつるんでるの、何度か見たよ? お清とかも、あいつに頼んだのかい?」

「お清・・・・・・そういえば、お清だけは何ともなってなかったのに、いなくなったな。うん、お清は、私は何もしておらぬよ。よく働く子だったのに、どうしたんだろう」

「失礼。お清というのは?」

 千之助が口を挟んだ。
 羅刹女を調伏したのは‘ついで’であって、本来の目的は、まださっぱり果たしていない。
 小菊の足取りを掴むには、佐吉なる男を当たるしかないのだ。

 どうやら佐吉は、羅刹女に食われた者らを引き取っていたようだ。
 佐吉が建てたという小屋に行くにしても、もうちょっと情報が欲しい。