始末屋 妖幻堂

「じゃあさ、そうさなぁ。何てったかな。佐吉・・・・・・とかいう男、心当たりはねぇか?」

「佐吉? もしかして、郭公の佐吉かい?」

 冴の眉根が思いっきり寄せられる。
 良い意味の渾名でないのは明白だ。

「知ってんのかい?」

「ま、村の娘なら知ってるんじゃないか? もっとも昔ながらの村人は、あいつの口車になんざ、乗らないけどね」

「ふぅん? 破落戸(ごろつき)か?」

 口車、という表現に、千之助は面白そうに眼を細めた。

「破落戸ってほどでもないけど。でもま、ろくなやっちゃないさね。見てくれはまぁ良いけど、あっちこっちの女子に手を出す、どうしようもない輩さね」

「何だ、ただのたらしかい」

 小菊の言う佐吉は、優しく良い奴のようだったが。
 だがのぼせ上がってしまったら、欠点など見えないものだ。

---要するに、小菊は女ったらしに引っかかったってことかい---

 ひそりと千之助はため息をついた。
 年頃の娘には、ありがちなことだ。

---ま、だからこそ俺っちも、小間物屋として商売できるわけだしな---

 千之助だって、口の上手さには自信がある。
 自分が女たらしだとは思わないが。