始末屋 妖幻堂

「ふむ。とにかく、お冴さんが知ってる中で、村からいなくなったのは・・・・・・記憶が曖昧になった奴ってことか」

「そうなるかな。記憶っていうか・・・・・・。記憶が曖昧というなら、お父とかもそうだよ」

 先に言っていたように、冴の家から下男下女が消えても、誰もそれを気に留めないのだという。

「家から出されるってだけだったら、よっぽどうちとの相性が悪かったとか思うだけだろうけど、村から消えてるんだよ? それでも誰も何も言わないなんて、おかしいじゃないか。まるで、初めからそんな人、存在しなかったみたいな態度なんだ」

「でも、お冴さんは覚えてるじゃねぇか」

「・・・・・・だからこそ、気色悪いんだよ・・・・・・」

 もしかして、小菊もここで記憶をいじられて、放り出された口なのだろうか。
 それにしても、冴がこれほどはっきりと覚えているのも妙だ。
 そういう関係ないような者は無事なのかと思いきや、冴の父親は記憶がない。
 おそらく、村人もそうなのだろう。
 冴には、何か特別な力があるのだろうか。

「なぁお冴さん。その、いなくなった女中の中に・・・・・・そうだな、歳はお冴さんと同じぐらいの、それなりに器量好しな娘はいなかったか?」

「? そんなん、結構いたよ。皆歳は、二十かそこら、それより下だったし」

 うむむ、と千之助は唸った。
 他に小菊を言い表す表現が思いつかない。