とりあえずその日はそれから何事もなく、夜は更けた。
牙呪丸は堀川には帰らず、小菊の作った汁粉を散々食い、座敷の隅で寝転がっている。
「ったく、こいつは。ちったぁ遠慮しろっての。人ん家に上がり込んどいてさ」
狐姫が、空になった汁粉の鍋を覗き込んで、牙呪丸を睨む。
「あんたも、もう寝な。夜中に何かあっても、牙呪丸もあちきもいるし、安心しなよ」
「あ、はい」
洗い物もとうに終わり、何となくその場に留まっていた小菊は、狐姫に言われて立ち上がろうとした。
そのとき、不意に部屋の灯りが変わる。
微妙に青く、少し暗くなった。
小菊は驚いて、中腰のまま狐姫を見る。
「ん? あ、旦さんからの便りだ」
特に驚くこともなく、狐姫は傍の行灯を引き寄せて覗き込んだ。
「よいしょっと」
いきなり行灯に手を突っ込む狐姫に、小菊は息を呑んだ。
小菊が駆け寄る暇もなく、狐姫はひょいと手を引き抜く。
その手には、青い炎。
「ね、姐さん・・・・・・。それ・・・・・・鬼火・・・・・・?」
狐姫の手の平で揺れる青い炎を、小菊は震える指で指した。
牙呪丸は堀川には帰らず、小菊の作った汁粉を散々食い、座敷の隅で寝転がっている。
「ったく、こいつは。ちったぁ遠慮しろっての。人ん家に上がり込んどいてさ」
狐姫が、空になった汁粉の鍋を覗き込んで、牙呪丸を睨む。
「あんたも、もう寝な。夜中に何かあっても、牙呪丸もあちきもいるし、安心しなよ」
「あ、はい」
洗い物もとうに終わり、何となくその場に留まっていた小菊は、狐姫に言われて立ち上がろうとした。
そのとき、不意に部屋の灯りが変わる。
微妙に青く、少し暗くなった。
小菊は驚いて、中腰のまま狐姫を見る。
「ん? あ、旦さんからの便りだ」
特に驚くこともなく、狐姫は傍の行灯を引き寄せて覗き込んだ。
「よいしょっと」
いきなり行灯に手を突っ込む狐姫に、小菊は息を呑んだ。
小菊が駆け寄る暇もなく、狐姫はひょいと手を引き抜く。
その手には、青い炎。
「ね、姐さん・・・・・・。それ・・・・・・鬼火・・・・・・?」
狐姫の手の平で揺れる青い炎を、小菊は震える指で指した。