「はぁ。店を血で汚しちまった。旦さんに怒られそうだわさ」
狐姫が、脇息にもたれながら、ため息をつく。
そして、ちろりと階段の下に立ちすくんでいる小菊に目をやった。
「突っ立ってないで、こっちに来て座ったらどうだい」
ぞんざいに、己の横を顎で指す。
が、それはすなわち、牙呪丸の傍に行くことだ。
小菊は怯えた目を牙呪丸に向けた。
先程までは狐姫も口元を赤く染めていたし、何より彼女の正体は狐だという。
だが、実際変化(へんげ)した姿を見ていないせいか、狐姫には、さほど恐怖は感じない。
しかし牙呪丸は、大蛇の身体で男を絞め殺しているところを見てしまったのだ。
優美な外見なだけに、より一層不気味さが増す。
躊躇っていると、くい、と袖が引っ張られた。
視線を落とすと、杉成が見上げている。
そのまま杉成は、くいくいと袖を引っ張り、小菊を座敷へと誘う。
相変わらずの無表情。
先は頬や着物に飛び散った返り血に驚いたが、今は怖くない。
何処をどう見ても、杉成は人間だからか。
もっともそれは、あくまで見てくれの話なのだが。
小菊は杉成と共に、座敷に入った。
狐姫が、脇息にもたれながら、ため息をつく。
そして、ちろりと階段の下に立ちすくんでいる小菊に目をやった。
「突っ立ってないで、こっちに来て座ったらどうだい」
ぞんざいに、己の横を顎で指す。
が、それはすなわち、牙呪丸の傍に行くことだ。
小菊は怯えた目を牙呪丸に向けた。
先程までは狐姫も口元を赤く染めていたし、何より彼女の正体は狐だという。
だが、実際変化(へんげ)した姿を見ていないせいか、狐姫には、さほど恐怖は感じない。
しかし牙呪丸は、大蛇の身体で男を絞め殺しているところを見てしまったのだ。
優美な外見なだけに、より一層不気味さが増す。
躊躇っていると、くい、と袖が引っ張られた。
視線を落とすと、杉成が見上げている。
そのまま杉成は、くいくいと袖を引っ張り、小菊を座敷へと誘う。
相変わらずの無表情。
先は頬や着物に飛び散った返り血に驚いたが、今は怖くない。
何処をどう見ても、杉成は人間だからか。
もっともそれは、あくまで見てくれの話なのだが。
小菊は杉成と共に、座敷に入った。