「ただでさえ、遊女の足抜けは重罪だ。俺らが血眼になって捜すのも、当たり前なんだ。そうだろ?」
連中の中でも頭であろう一人の男が、必死に訴える。
狐姫は、その言葉に一つ頷いた。
「確かにの。花街からの足抜けは、まさに命がけよな。しかも借金も返さないままなんて、旦さんも、とんでもないことだって言ってたし」
「そうだろっ? とんでもないことをしでかしたのは、小菊のほうなんだよ。そんな奴を庇ったところで、あんたたちだって何の特にもならないぜ?」
ようやく話が通じ、男は勢いづく。
「借金踏み倒そうって奴を庇ったら、あんたらだって同罪になるぜ? あいつに都合良く言いくるめられてるんだろうが、むしろ被害者はこっちなんだ。さ、わかったら、小菊を寄越してくれ」
これが普通の廓の亡八なら、言い分は正当だ。
その点は、元から千之助も狐姫も認めている。
だが。
狐姫は、ふん、と鼻を鳴らした。
「あちきはそもそも借金なんざなかったけどねぇ。ふふ、廓にいたお陰で旦さんに会えたわけだし、何の辛いこともなかったけど。けどねぇ、同じ女子として、小菊をあんたらに渡すわけにはいかないねぇ」
連中の中でも頭であろう一人の男が、必死に訴える。
狐姫は、その言葉に一つ頷いた。
「確かにの。花街からの足抜けは、まさに命がけよな。しかも借金も返さないままなんて、旦さんも、とんでもないことだって言ってたし」
「そうだろっ? とんでもないことをしでかしたのは、小菊のほうなんだよ。そんな奴を庇ったところで、あんたたちだって何の特にもならないぜ?」
ようやく話が通じ、男は勢いづく。
「借金踏み倒そうって奴を庇ったら、あんたらだって同罪になるぜ? あいつに都合良く言いくるめられてるんだろうが、むしろ被害者はこっちなんだ。さ、わかったら、小菊を寄越してくれ」
これが普通の廓の亡八なら、言い分は正当だ。
その点は、元から千之助も狐姫も認めている。
だが。
狐姫は、ふん、と鼻を鳴らした。
「あちきはそもそも借金なんざなかったけどねぇ。ふふ、廓にいたお陰で旦さんに会えたわけだし、何の辛いこともなかったけど。けどねぇ、同じ女子として、小菊をあんたらに渡すわけにはいかないねぇ」


